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下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
Applied Surface Science, 405, p.255 - 266, 2017/05
被引用回数:1 パーセンタイル:5.85(Chemistry, Physical)イオンビームによりヘテロ原子ドーピングを行ったグラファイト基板上に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)薄膜の配向構造を調べるため、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法を用いた。Si 端NEXAFSスペクトルは非照射基板上とN照射基板上で互いに逆の傾向を示す偏光依存性を示し、Arイオン照射基板上では偏光依存性を示さなかった。第一原理計算によるNEXAFSスペクトルの理論的解釈に基づき、PDMSは非照射基板で水平配向、N照射基板上で垂直配向、Ar+イオン照射基板上でランダム配向をとることがわかった。我々はさらに光電子顕微鏡を用いた分析を行い、同一基板上で照射・非照射領域が分離した表面でPDMS薄膜がmオーダーで異なる配向を持ちうることを見いだした。これらの結果は集光イオンビームを用いたグラファイトの表面改質が有機薄膜のための新たな微細配向制御法となる可能性を示唆している。
下山 巖; 馬場 祐治
DV-X研究協会会報, 28(1&2), p.62 - 69, 2016/03
触媒として注目されているリンドープグラファイトに対しドーパントの効果を調べるため、吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)分光法によりPサイトの電子構造を調べた。70Cの高温ドーピングで作製した試料のP K端NEXAFSスペクトルにはグラファイト的な偏光依存性が観測され、リンサイトが平面構造をとることを明らかにした。配位数の異なる複数の平面リンサイトのモデルクラスターについてDVX法による電子構造解析を行い、NEXAFSスペクトルと比較したところ、炭素3配位の平面構造を持つグラファイト構造のPサイトがNEXAFSスペクトルを最もよく再現することがわかった。一方、室温ドーピングと800Cのアニーリングにより作製した試料では偏光依存性の低下が観測された。5員環を含んだ曲面構造のPサイトをもつモデルクラスターの電子構造計算により、NEXAFSの偏光依存性の低下とスペクトル形状の変化を説明できることがわかった。この結果はイオンドーピング時の温度によりリンサイトの局所構造を制御できることを示している。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘
DV-X研究協会会報, 27(1&2), p.34 - 44, 2015/03
共役系ホウ素窒化炭素化合物(BCN)は触媒活性などの機能性が注目を集めている。しかし、その原子配置は不明である。我々はNEXAFS分光法のN吸収端でのスペクトルをDVX法で解析し、原子配置に関する分極ルールを提案した。本発表ではB吸収端でのスペクトルから分極ルールを再検討した結果について報告する。BCNのB及びNのNEXAFSスペクトルは六方晶窒化ホウ素(h-BN)のNEXAFSスペクトルのピークよりも低エネルギー側にブロードな成分を示し、偏光依存性解析からそれらの成分は面外遷移に帰属される。グラファイト構造BCNについて原子配置の異なる幾つかのモデルクラスターの準位の電子状態をDVX法により計算した。BC2NはB, Nどちらの内殻励起においてもh-BNよりも低い励起エネルギー領域に準位を示した。B, C, N間で大きい分極をもつ原子配置の場合はB吸収端において大きいピーク強度を示すが、B, C, N間の分極が小さい原子配置の場合は逆の傾向を示すことから、B吸収端のNEXAFSスペクトルの結果も分極ルールの存在を支持することがわかった。
下山 巖; 馬場 祐治; 関口 哲弘; Nath, K. G.
表面科学, 25(9), p.555 - 561, 2004/09
六方晶窒化ホウ素(-BN)はグラファイト構造を持つ絶縁体であり、超薄膜絶縁体材料としての興味深いターゲットである。近年幾つかの遷移金属単結晶表面上にエピタキシャル-BNモノレイヤーが形成されることが報告された。そのうちNi(111)は-BNとの格子整合性が高いためエピタキシャル薄膜成長に対し有利であるがその薄膜-基板間相互作用については十分明らかになってはいない。そこでわれわれは吸収端近傍X線微細構造(NEXAFS)分光法を用いて-BN/Ni(111)の電子構造を調べ、薄膜-基板間相互作用を明らかにすることを試みた。ボラジン(BNH)を用いたCVD法によりNi(111)上に-BN薄膜を形成し、そのB K端でのNEXAFSスペクトルを測定した。得られたスペクトルはバルク-BNでは観測されない新しい*ピークを示した。このピークの解釈のためモデルクラスターを用いたDV-X分子起動計算を行い、新しいピークがおもにNi4p軌道と-BNの*軌道との混成により生じたものであることを明らかにした。この結果からわれわれは-BNモノレイヤーとNi(111)基板は化学吸着的な強い相互作用を持つと結論した。
田中 真人*; 中川 和道*; 古結 俊行*; 安居院 あかね; 横谷 明徳
Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.1009 - 1011, 2001/03
アミノ酸分子は固相中ではいわゆるツイッターイオン状態として存在するため、その蒸気圧は極めて低いことが知られている。この性質は、X線微細吸収構造(XANES)測定において必要とされる超高真空下での実験を可能とする。最近、炭素のK吸収端近傍でのアミノ酸のXANES研究が、実験と理論の両面から行われた。本研究において、われわれは酸素のK吸収端におけるアミノ酸XANES測定を行った。アミノ酸分子中では、酸素原子は多様な化学的状態をとるため、XANES構造を調べることは興味深い。例えば炭素を含むカルボキシル基が-COO-のようなアニオンとして存在するのに対して、側鎖のカルボキシル基は-COOHである。さらにいくつかのアミノ酸では、OH基としても存在する。このような化学的環境に特有の化学シフトが、XANESスペクトル上に現われることが予想される。われわれはグリシン,アラニン,セリン,アスパラギン酸,チロシンの各アミノ酸のフィルムを試料として用い、XANES測定を行った。得られたスペクトルを、分子軌道計算(DV-X)の結果をもとにその詳細を議論した。
佐々木 貞吉; 足立 裕彦*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 19(3), p.261 - 271, 1980/00
8個の代表的な酸素酸イオンについて、その電子構造eDV-X法で計算した。分子起動エネルギーの計算値は、実験値とほぼ完全に一致した。また、スペクトルの形状および強度も測定されたものと良好な一致を示し、Scofieldによる光イオン化断面積の計算値は、信頼性の極めて高いことを確認した。
下山 巖; 馬場 祐治; 平尾 法恵*
no journal, ,
一次元電子・光学デバイスとしての応用が期待されているポリジメチルシラン(PDMS)薄膜の配向制御を行うため、我々はイオンビーム照射を行ったグラファイト上のPDMS薄膜の配向を調べた。高配向熱分解グラファイト(HOPG)に3keVのNイオンを室温で照射し、その後PDMSを真空蒸着した。非照射HOPG基板に蒸着したPDMS薄膜のSi 端の吸収端近傍X線吸収微細構造(NEXAFS)スペクトルの解釈のためDV-X 法による電子構造解析を行い、NEXAFSの偏光依存性からPDMS薄膜が水平配向をとることを確認した。一方Ar照射HOPG基板ではNEXAFSの偏光依存性が失われ、ランダム配向示す結果が得られた。またNイオン照射HOPG基板では未照射基板と逆の偏光依存性が観測され、垂直配向した薄膜が得られた。この結果はイオンドーピングによる有機デバイスの微細配向制御法の可能性を示している。
下山 巖; 馬場 祐治*
no journal, ,
セシウムフリー鉱化法は粘土鉱物を異なる鉱物に変換する過程で放射性Csを除去するため従来よりも低温での土壌除染を可能にするが、その効率は添加剤に依存する。CaClは700C付近で粘土鉱物の相変態を誘起し高い除染率を示すが、Clによる相変態誘起効果の詳細は不明である。本研究ではCs収着風化黒雲母(Cs-WB)を模擬土壌とし、相変態温度よりも低温でのCs-WBとClとの相互作用をNEXAFS分光法により調べた。NaCl-CaClとの熱処理後に塩を水洗浄で除去しスペクトルを測定した。400C付近で異なる化学結合状態をとる複数種のClサイトの形成が観測され、塩素を含むシリカモデルクラスターの電子状態をDV-X分子軌道計算により求め、それに基づいて光吸収断面積スペクトルを調べたところ、観測された成分は+1価、-1価、及び高価数のClにより解釈できることを明らかにした。Cl-O結合をとるClサイトはシリカネットワークを不安定にする効果を持つため、これにより低温での粘土鉱物の分解が促進されたと考えられる。さらに他の試薬との比較からClによる効果が添加剤の対カチオンの価数に依存することを示す。
下山 巖
no journal, ,
放射性Csで汚染された土壌の管理は福島の環境修復における未解決課題の一つである。セシウムフリー鉱化法は熱処理による土壌除染法の一つであるが、土壌中でCsを固定する粘土鉱物を化学反応で異なる鉱物に変換することでCsを除去する特徴を持ち、CaClを反応剤に用いて従来よりも大幅に低い700CでのCs除去に成功している。Ca(OH)やCaCOのように塩素を含まない反応剤の場合はこの温度で粘土鉱物の相変態が生じないことから、塩素による相変態を促進する効果が推察されるが、その詳細はよくわかっていない。そこでより低温でのClと粘土鉱物との相互作用をX線吸収分光法により調べた。400Cで処理を行った風化黒雲母のスペクトルには複数成分が観測された。これらはモデルクラスターを用いたDV-X分子軌道計算によりカチオンと結合した-1価のClと酸素と結合した+1価及び高価数のClサイトにより解釈できる。半経験的分子軌道計算によるシリカモデルクラスターの構造安定性の比較により、Si-Cl結合よりもO-Cl結合が系をより不安定にすることが示された。この結果は粘土鉱物の酸素と結合した塩素が粘土鉱物を不安定化させ、これにより低温での相変態を促進させる効果を持つことを示している。